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更新日:2024年5月2日

「高気密高断熱の住宅は快適?メリットやデメリット、注意点などを詳しく解説」

高い気密性と断熱性を持つ住宅は、どれほど快適なのでしょうか。住宅を建てる際には、高い気密性と断熱性のみならず、その利点や欠点、留意点を把握することが肝要です。
この記事では、高い気密性と断熱性を備えた住宅に興味を持っている読者に向けて、その特長や利点・欠点を詳しく解説します。また、留意すべき点にも触れることで、住宅購入の際の参考となるでしょう。

高気密高断熱の住宅とは?

高気密高断熱の住宅には、どのような特徴があるのでしょうか。ここでは、高気密住宅と高断熱住宅それぞれの特性について詳しく説明します。

高気密住宅の特性

高気密住宅とは、壁の内部や床下などに断熱材や防湿シート、気密テープなどを使用して建てられた住宅です。主な特性は、住宅内の隙間が完全に埋まっているため、外気の侵入が少ないことです。この高い気密性により、暖房によって暖められた室内の空気が保持され、冷たい外気が侵入しにくくなります。

高断熱住宅の特性

高断熱住宅は、外壁や床下、天井裏などに断熱材を使用して建てられた住宅です。断熱性が高いため、外部の気温の変化に影響されにくい特性があります。高気密性と高断熱性を組み合わせることで、エネルギー使用量を抑えながら、夏は涼しく、冬は暖かい室内環境を実現することができます。

高気密高断熱のメリット

高い断熱性と気密性を持つ住宅を選んだ場合の利点について説明します。

光熱費の節約

高気密高断熱の住宅では、室温が外気温の影響を受けにくいため、夏は涼しく冬は暖かく過ごせます。このため、エアコンや暖房器具の使用を最適化でき、光熱費を節約できます。室内温度の一定性は、廊下などの温度差もなくし、快適な環境を維持します。

ヒートショックの軽減

温度差が少ないため、高気密高断熱の住宅ではヒートショックのリスクが軽減されます。ヒートショックは、急激な温度変化によって生じる血圧の変動であり、特に冬場に注意が必要です。しかし、このタイプの住宅では室内の温度が一定に保たれるため、ヒートショックの危険性が低減します。

耐久性の向上

湿度が一定に保たれるため、結露やカビの発生が抑制され、建物の耐久性が向上します。十分な換気ができる高気密高断熱の住宅では、結露やカビの問題を未然に防ぎます。

洗濯物の乾燥

高い断熱性と気密性により、住宅内の湿度が外部からの影響を受けにくくなります。そのため、梅雨や雨の日でも室内が乾燥しており、洗濯物を室内で干すことができます。さらに、自然な風通しを保つため、洗濯物に付着する花粉や黄砂を心配する必要もありません。

防音効果

高気密高断熱の住宅は、外部の騒音を遮断し、室内の音を外に漏らさないため、防音効果があります。これは、夜泣きする赤ちゃんや騒々しいペットを持つ家族にとって特に有益です。周囲への騒音の心配を減らし、より静かな環境を提供します。

高気密高断熱のデメリット

高気密高断熱の住宅には多くの利点がありますが、同時にいくつかの不利な側面も考慮すべきです。

建築費用の増加

断熱性や気密性を高めるためには、特殊な資材や施工が必要となります。そのため、一般的な住宅よりも建築費用が高くなる傾向があります。各ハウスメーカーや建築業者によって費用は異なるため、事前に見積もりを行い、予算内での検討が重要です。ただし、長期的な視点から見れば、光熱費の節約によるメリットがあります。

室内の乾燥

雨の日でも洗濯物が早く乾くという利点がある一方で、高気密高断熱の住宅では室内の空気が乾燥しやすいというデメリットもあります。乾燥に敏感な方は、加湿器などで湿度を調整する必要があるかもしれません。ただし、洗濯物を室内で干すことで室内の湿度が上昇するため、乾燥対策としても有効です。

内部結露のリスク

高い断熱性や気密性を持つ住宅では、十分な換気が行われていないと内部結露が発生するリスクがあります。特に壁の隙間などから外部との温度差が生じると、内部結露が発生しやすくなります。これを防ぐためには、適切な気密性の確保と定期的な換気が重要です。

石油ストーブの制限

高気密高断熱の住宅では、石油ストーブの使用は適していません。なぜなら、石油ストーブの燃焼により一酸化炭素中毒のリスクが高まるためです。石油ストーブを使用する場合は、定期的な換気が必要です。

住宅を高断熱にする方法

断熱性を向上させる手法には、「充填断熱」と「外断熱」の2種類があります。それぞれの特徴を見ていきましょう。

充填断熱の特徴

充填断熱は、建物の内部に断熱層を設ける方法です。外壁と室内の壁の間や天井、床下などに断熱材を充填し、住宅の断熱性を向上させます。この方法の利点は、比較的低コストで実施できることと、内装工事の際に施工できることです。また、外壁を厚くする必要がないため、外壁周辺にスペースを確保する必要がありません。
ただし、施工方法によっては気密性が低下し、内部結露のリスクが高まる可能性がある点に留意する必要があります。

外断熱の特徴

外断熱は、建物の構造体の外側に断熱層を配置する方法です。充填断熱よりも気密性が高く、建物の構造体がより耐久性を持ちます。また、壁内に断熱材を詰める必要がないため、内部結露の発生が抑制されます。
一方で、充填断熱に比べてコストが高くなることや、外壁の厚みが増すため、外観への影響が考えられます。また、気密性が高いため、こまめな換気が必要です。

断熱材の種類

断熱材にはさまざまな種類があり、それぞれに長所や短所が存在します。大まかに言えば、繊維系と発泡プラスチック系の2つに分類されます。また、断熱材の形状によっても異なる分類方法があります。以下では、代表的な繊維系と発泡プラスチック系の特徴について見ていきます。

繊維系の断熱材

繊維系の断熱材には、いくつかの種類があります。これらの断熱材は、細かな繊維状の構造を持っており、その中に含まれる空気が熱の伝導を防ぐ役割を果たします。繊維がより細かく密集しているほど、断熱性能が向上します。繊維系の断熱材の主なメリットは、比較的低価格で入手できることです。ただし、空気層に水蒸気が侵入すると性能が低下するというデメリットもあります。
・グラスウール(鉱物系)
・ロックウール(鉱物系)
・セルロースファイバー(天然素材)
・羊毛(天然素材)
・コルク(天然素材)
グラスウールは、高温でガラスを溶かし、それを繊維状にした断熱材です。そのため、非常に耐火性が高く、広く普及しています。天井や床、壁などの断熱に利用される他、吸音性も高いため、防音にも使われます。さらに、シロアリに対する耐性もあります。一方で、施工時に断熱材が脱落しないよう注意が必要であり、吸湿しないような環境対策も必要です。そのため、信頼できる経験豊富な業者の選択が肝要です。
ロックウールも同様に、天然岩石を高温で溶かして繊維状にした断熱材です。耐火性に優れ、吸音性が高く、シロアリの被害を受けにくいですが、グラスウールと同じく施工時の注意や吸湿対策が必要です。また、比較的重量があるのも特徴です。
セルロースファイバーは、天然の木質繊維を利用した断熱材で、環境に優しい特性を持ちます。木の性質により、湿度を一定に保つことができますが、水に弱く、施工時に慎重な取り扱いが求められます。そのため、専門の業者による施工が必要です。
羊毛は、吸音性に優れ、防音や調湿に効果があります。天然素材であるため、シックハウス症候群のリスクが低く、環境に配慮した選択肢と言えます。
コルクは、自然由来の素材であり、防虫効果があります。また、空気を多く含むため、吸音性や断熱性に優れています。

発泡プラスチック系の断熱材

発泡プラスチック系の断熱材には、いくつかの種類があります。これらは、様々な種類のプラスチックを発泡させて作られています。プラスチックの種類によって、断熱性能や耐水性、耐熱性、耐薬品性などが異なります。発泡プラスチック系の断熱材は一般的に軽量であり、水に強いという利点があります。ただし、一部のタイプは熱に対して弱いという欠点もあります。
・ポリスチレンフォーム(石油系)
・ウレタンフォーム(石油系)
・フェノールフォーム(石油系)
ポリスチレンフォームは、食品包装などで広く使われており、無味無臭で安全性が高い素材です。また、優れた断熱性能を持ち、湿気に対する耐性も強い特徴があります。しかし、高温には弱いという欠点があります。
ウレタンフォームは、スポンジなどにも利用される素材であり、発泡プラスチックの中では最も優れた断熱性を持っています。ただし、価格が高めであり、時間の経過や施工方法によって性能が低下する可能性があります。
フェノールフォームは、燃焼しにくい素材であり、優れた防火性を持つ断熱材です。高い断熱性能と耐久性がありますが、価格が高く、衝撃吸収にはやや劣り、吸湿性や吸水性も他の素材に比べて劣っています。

高気密高断熱の注意点

高気密高断熱の住宅を建てる際に留意すべき重要な点を説明します。

適切な換気システムの導入が必要

高気密高断熱の住宅は外気や湿度を効果的に遮断できますが、その一方で室内の空気が停滞しやすいという特性があります。建築過程で使用される材料の化学物質やハウスダストなどが室内に滞留する可能性が高まり、シックハウス症候群のリスクが増大します。健康面を考慮するならば、換気システムの導入や窓の定期的な開閉など、効果的な換気対策が必要です。このため、2003年以降、24時間換気システムの設置が義務付けられています。

建築会社の選定を重視する必要

高気密高断熱の性能は、施工会社の技術力や経験に大きく依存します。充填断熱を採用する場合、壁にわずかな隙間があれば内部結露のリスクが高まり、建物の劣化につながる可能性があります。信頼性の高い建築会社を選ぶためには、次の3つのポイントを考慮することが重要です。

・施工実績が豊富であること
・ZEH(ネット・ゼロ・エネルギー・ハウス)に対応していること
・気密測定を実施していること

ZEHは、高い断熱性能と効率的な設備を組み合わせ、再生可能エネルギーの活用により年間のエネルギー消費量をゼロに近づけることを目指す住宅を指します。

これからの住宅は

地球温暖化は、二酸化炭素の排出量によって進行し、世界的な深刻な問題となっています。そのため、日本政府は「2030年までに新築住宅の平均でZEHの実現を目指す」という目標を掲げました。これにより、ZEHの認知度が向上し、ZEH対応の住宅が将来の標準的な選択肢として注目されるようになりました。ZEH住宅の建設に関わる事業者も増加し、国の条件や基準を満たす事業者を「ZEHビルダーやZEHプランナー」として認定する制度も整備されています。

また、2021年4月からは、「建築物省エネ法」が「改正建築物省エネ法」として一部改正され、よりエネルギー消費を削減できるようになりました。さらに、「小規模住宅(300㎡未満)」の建設を行う際には、建築士から省エネ基準法に適合しているかどうかの説明が依頼者に義務付けられました。これにより、ますます地球にやさしく、環境に配慮した住宅づくりが求められるようになりました。これまで考慮されてこなかった省エネ性能に関する考え方も変わり、マイホームの購入に際しても重視されるようになっています。是非、これを機にエネルギー使用量を抑え、快適な暮らしを実現するための高気密高断熱の住宅建設を検討してみてください。

まとめ

高気密高断熱の住宅は、外気温の変化に左右されず、一定の室温を保つため、夏は涼しく、冬は暖かく過ごすことができます。ただし、施工方法によっては内部結露が発生するなどのリスクがあります。安心で快適な住宅を実現するためには、信頼できる施工会社の選択が重要です。

私たちワンズホームはZEHプランナーであり、高気密高断熱の住宅を提供しています。気密高断熱の住宅を検討されている方は、ぜひ当社にお問い合わせください。